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家紋の意味とは?由来などについて刺繍店が解説

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2019.02.25

小さなお子さんの節句や七五三に着用する羽織、結婚式などに着る和装の背縫いの上の辺りや、それぞれの袖に紋がついているのはご存じの通りです。
他にも時代劇で着用する着物や提灯などにも用いられていますが、この紋章は日本特有のもので家紋と呼ばれそれぞれの家で決められた印です。

 

家紋は衣服だけでなく調度品などにも使用され、元々は個人だけでなく家や一族、団体などを表徴する役割を果たしていましたが、時代と共に武家の紋章だけを意味するようになり、団体や結社に用いられるものは記章やバッジと呼ばれるようになりました。

 

家紋の最も古い図柄は巴で、平安後期頃に貴族が自分の車と他者の車を区別するために使用したことが始まりとされています。
その後、家や一族の印として使用されるようになることで定着し、やがて権力を引き継いだ武士達も用いるようになりました。
武家においては当初は出身を表す紋章としてよりも、戦場で敵か味方かを見分けるために使われており意匠も判別しやすいものが好まれました。

 

戦国時代になると敵か味方かを判別するためだけでなく一族の宣伝として急速に普及し、次第に権威の象徴に変わっていきました。
江戸時代には太平を背景に完全に権威の象徴として用いられるようになり、地方の大名の紋もそれぞれその家の代わりに扱われるようになります。
また江戸文化が花開く頃には庶民にも流行し、役者や町衆も好みの紋を選んで使用するようになりました。
武家と異なり紋を格式化したわけではなく遊び文化の延長としての流行でした。

 

その後、明治時代になると庶民にも家紋が許されるようになったためこの時に紋を定めた家は多く、それが現在おのおのの家に伝わったとする事例が多いようです。
意匠は花鳥風月といった動物や植物に由来するものが多く、西洋がエンブレムに獅子や龍、鷲などを使用することで権力や武力を誇示したのとは対照的で、日本が昔から自然との関係が深い国だったということがわかります。

 

現在、使用されている最も有名な家紋の一つである皇室の菊の紋は、後鳥羽上皇がとくに菊を好み日常品にまで菊花紋を使用していたことが始まりとされています。
菊の花は元々中国で観賞用として好まれていましたが、平安時代中期頃に日本に伝来し、宮中の年中行事で菊の宴を開き不老長寿を願ったり薬餌にも使用されていたことから縁起がよいとされてきました。
鎌倉時代末頃に皇室の私的な専用の文様になりましたが、一般の人たちも菊花紋を使用することが許されていました。
ですが明治時代になると皇室の紋章に定められたため他の人が使用することはできなくなりました。